あいのベーカリー通信~変遷~

あいのベーカリー通信~変遷~

皆さんこんにちは!

食パン家あいの更新担当の中西です。

 

 

~変遷~

焼きたての匂い、並ぶバゲット、袋からのぞく食パンの耳。
ベーカリーは、時代の食卓と街の風景を写してきました。ここでは技術・商品・店づくり・流通の4軸で、戦後から現在までの変遷を実務目線で振り返ります。


1|戦後〜1960s:主食化の時代—食パンと学校給食

  • 背景:小麦輸入の拡大と学校給食の普及で、パンが“特別な洋食”から日常の主食へ。

  • 商品食パン・コッペパン・菓子パンが中心。砂糖と油脂でエネルギーを補う“甘くて柔らかいパン”。

  • 技術:直捏ね・発酵→ホイロ→直火/石床オーブン。安定量産が最優先。

  • 店づくり:町のパン屋+配達。ショーケース越しの対面販売。


2|1970s–1980s:多様化の幕開け—ヨーロッパ志向と「街角ブーランジュリー」

  • 商品バゲット、クロワッサン、ハード系が徐々に拡大。

  • 設備デッキオーブン、スパイラルミキサー、ショックフリーザーの普及で、発酵と層づくりが安定。

  • 店づくり:セルフサービス台の導入、惣菜パン・焼き込み調理で昼食需要を取り込み。

  • 文化:デパ地下・駅ナカが伸び、“焼きたて”=来店動機に。


3|1990s–2000s:量販競争と分業化—CVS/SMとの共存、ベイクオフの登場

  • 競争:コンビニ・スーパーの袋パンの品質向上と低価格。

  • 分業セントラルキッチンや**ベイクオフ(半焼成・冷凍生地)**の活用で、安定供給×省人を両立。

  • 商品デニッシュ、総菜パン、菓子系のバリエーション爆発。アレルゲン表示や賞味期限管理が標準化。

  • 店づくりベーカリーカフェが増え、滞在型へ。POPや焼成タイムの演出で回転率を上げる運営に。


4|2010s:“サードウェーブ”—素材・発酵・ストーリーの時代

  • 素材回帰国産小麦、全粒粉、ライ麦、ロング発酵低温長時間発酵液種・ルヴァンの再評価。

  • 健康志向:糖質調整、ハイファイバー、プロテインブレッド、グルテンフリー(一部)。

  • デザインクラフト感ある内装、オープンベーカリー、インスタ映えが集客の武器に。

  • DXの入口:POSで時間帯別販売・焼成計画を最適化、動線とトング/トレイ設計が高度化。


5|2020s:省人・OMO・サステナ—“焼く”だけでなく“回す”を設計

  • 省人化リターダープルーファーで夜間作業を圧縮、半製品×店内仕上げのハイブリッド化。

  • OMO(Online Merges with Offline)予約受取・モバイルオーダー・サブスク食パン、焼き上がり通知。

  • フードロス削減需要予測×焼成回数再焼き(リベイク)推奨、タイムセールの自動化

  • サステナ:紙包材・レジ袋削減、余剰パンのフードバンク/ラスク化、電力ピークの平準化。

  • 衛生・安全:HACCP発想の温度・時間の記録、アレルゲン管理の徹底。


6|技術進化のハイライト(要点だけ)

  • ミキシング:直捏ね→オートリーズ・低温長時間で風味と保水を両立。

  • 発酵:常温一発→分割冷蔵・低温長時間・リターダーで“夜仕込み→朝焼き上げ”。

  • 焼成:デッキ+スチーム制御、コンベクション併用、石床・鋳鉄プレートの使い分け。

  • 冷凍冷凍生地・半焼成歩留まりと人時生産性を安定化。


7|日本ならではの商品進化

  • 食パンの高度化:生クリーム・発酵バター・湯種・中種で耳までしっとり

  • 惣菜パン文化カレーパン、焼きそばパン、明太フランス—“おかず×パン”の編集。

  • 和洋折衷あんバター、抹茶×チョコなど地域素材と融合。

  • 四季の訴求:いちご・桜・栗・さつまいも——旬で並びが変わる棚づくり。


8|チェーン vs 個店:役割のすみ分け

  • チェーンベイクオフ+カフェ動線で安定集客、家賃立地でスケール。

  • 個店長時間発酵・自然酵母・季節仕込みで差別化、**地域コラボ(農家・乳業)**で物語をつくる。

  • 共通の課題:人材確保、早朝・夜間の負荷、原材料コストの変動(小麦・バター)。


9|“これからの10年”の勝ち筋(提案)

  1. 需要予測×焼成最適化:時間帯KPIで焼き直し・焼き増しを判断、ロスと欠品を同時に下げる。

  2. 予約と定期便主力食パン・人気ハード定期受取でベース売上を安定化。

  3. 地域素材×定番:地元小麦・果実・味噌などを既存ベストセラーに小さくブレンド

  4. 仕込みの見える化:焼き上がりタイムラインを店頭・SNSに表示し、来店を設計。

  5. 人が育つレシピ動画レシピ+温湿度ログ+出来映え写真で、教育を“再現可能”に。


10|ミニ年表(ざっくり)

  • 〜1960s:主食化(食パン・コッペ)/対面販売

  • 1970–80s:ハード系・デニッシュ/セルフ販売・駅ナカ

  • 1990–2000s:CVS/SM競争/ベイクオフ・セントラル

  • 2010s:素材回帰・サワード/ベーカリーカフェ・SNS

  • 2020s:省人・OMO・サステナ/予約・サブスク・ロス削減


11|ベーカリーは“焼く技術”+“回す設計”

時代は、主食化 → 多様化 → 分業化 → 素材と物語 → データで回すへ。
いま求められているのは、**おいしさ(発酵・焼成)運営の再現性(需要予測・予約・省人)**を重ねること。
焼き上がりの香りに、無駄のないリズムを宿せた店が、次の10年をリードします。🥐